喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ニッサン GT-R 前方部修理事例]
平成11年式 NISSAN GT-R(BNR34)
ボディーカラー:ソニックシルバーメタリック (KR4/M)
自走不能状態でロードサービスより入庫。
現在、非常に希少価値の高い車両の修理です。
また、部品の調達も非常に困難となっています。
早速、車体整備開始。
車体の内板骨格部品が負った損傷の状態からエンジンやトランスミッションを車体から
降ろす必要があり、大きく変形したフレームをアライニング(粗出)。
アライニングを終えて、変形したサイドメンバーが元の位置に戻ったところでエンジンを
降ろします。
内板骨格の状態。
「サイドメンバー右」
「サイドメンバー左」
更にエンジンルームの配線や配管、付属品を分解します。
内板骨格部品の交換に入る前に、フレーム計測器『 SHARK-3 』をセットします。
アライニング作業では修復しきれなかった内板骨格部位を『 SHARK-3 』により
常に車体寸法を計測しながらフレーム修正機『 BLACKHAWK 』にてミリ単位の
修復を施していきます。
変形した内板骨格部品がメーカーの指定する基準値まで修復できたら、新しい内板骨格
部品に交換するか、そのまま残して鈑金により復元するかを判断します。
内板骨格部品はオリジナルの溶接強度を活かすために、なるべく交換しない方が良い
場合があります。
今回の事故による車体が受けたダメージから左右のサイドメンバーの交換を選択
しました。
車体強度を確保するために気を付けている修理の一つ。
左右の足廻りに掛かる大きな加重を受ける「フードレッジ」の内、「サスペンション」が
取り付く部位はオリジナルを残し、「フードレッジ」の前方部(フロントロアフードレッ
ジ)のみを交換します。
アライニング(粗出)作業は終えているので、今度は内板骨格部品の一つ一つをメーカー
の指定する車体寸法値となるまでミリ単位で修復していきます。
右「フードレッジ」全体の修復。
左の「フードレッジ」後方に及んだ損傷を修復。
左右の「サイドメンバー」の交換(側面から撮影)。
「ロアダッシュパネル」と「サイドメンバー」のつなぎ目は車体の中でも最も強度を必要
とする場所なので、高い溶接技術と知識を持った有資格者が溶接を担当します。
「ダッシュロアパネル」と「フロントフロア」の結合部。
事故時に「トランスミッション」が横方向に振られて負った損傷。
「チッピングコート」や「アンダーコート」を塗布。
左右の「サイドメンバー」交換後に「ラジエータサポート」に交換。
ここから内板塗装工程に入っていきますが、その前に内板部品を繋ぎ合わせた溶接個所や
鈑金により修復した箇所を錆や水分から保護するために「シーリング」「防錆ワックス」
「アンダーコート」「チッピングコート」等を塗布していきます。
部品を取り付けたり、塗装したりすると見えなくなってしまいますが、車体の耐久性を
高めるための重要な下処理作業工程です。
下処理を終えて、やっと内板塗装に入っていきます。
!!?
青い・・・??
そう、オーナー様が修理の途中でこれを機に全塗装をしたいとのご要望があり色替と
なりました。
しかも塗装屋泣かせの現行GT-Rの特別カラー「ワンガンブルー」です。
ここで、内板骨格修理がひとまず完了です。
ここから先の作業は、車体整備事例「 日産GT-Rその② 」に続く。