喜ばざる状況だから修理後には喜んで頂きたい。
繊細な感覚とテクニックでスペシャリストが対応します。
実際の修理の事例です。
[ ニッサン キューブ 右前面修理事例 ]
平成22年式 日産 キューブ(Z12)
ボディーカラー:ビターショコラ(L50/2CP)
右前方部の車両同士の事故による損害の修理事例です。
正面から見ると余り大した事のない損害に見えますが。
横から見ると、まぁまぁヒドい事故ですね。
ちょっと寄ってみます。
ヘッドランプ右側が押し込まれ、フロントフェンダ右側にも著しい変形が確認できます。
ホイールキャップ右前にもキズを確認。
次に内部の状態を確認するため、前廻りのボルトオンパーツ(外装部品)を分解します。
ウォッシャータンクに変形を確認。この位置に取り付いている車両も多く、よく損傷が確認できる部品です。一見では分からない小さな亀裂から時間を掛けてポタポタとウォッシャ液が漏れだしてしまう事もあるので、今回交換します。
では、車体整備の開始です。
まずは、ヘッドランプの押し込みで変形した内板部品、ラジエータサポート右側の修正。
事故により塗装が剥離していたので修正した後、塗装します。
外板部品と異なる色を2色ほど調色して内板っぽく仕上げます。
次に外板部品の交換と塗装作業です。
まずは、フロントフェンダー右側のボンネットを閉めると見えなくなってしまう所を塗装。こちらは内板に塗装されたように仕上げます。
こちらのおクルマは茶色っぽい塗装がされていますが、パール塗料が塗装されていますのでキラキラしたパール顔料が入った塗料を塗装した後にクリアー塗料により全体にコーティングして塗装を仕上げます。
まずは、防錆剤を塗装。
次に一色目を塗装。
ニ色目を塗装した後、クリアー塗装を塗装します。
クリアーはパラパラと塗装しています。
これは、こちらのおクルマが新車製造ラインで塗装された時に、この塗装箇所の様に部品が取り付くと見えなくなってしまう場所は空気が入り難いため、塗装の際に塗料がしっかりと吹き付けられていない状態だったので敢えてこのように仕上げます。新車製造時の塗装ではほぼ全ての車がこのように仕上がっています。今回は交換しないフロントフェンダ左側の塗装の状態を参考にして左右の仕上がりが対象となるようにしています。
次に外板部品の塗装を最高級塗装ブース 『SAIMA(サイマ)』 内で塗装します。
パール系やメタリック塗料の塗装は新たに塗装する部品と元々の塗装されている部品との色の違いを無くすため基本的には隣接(りんせつ)パネルへ「ぼかし塗装」を施工します。
今回の場合はフロントフェンダ右側を交換するので、フロントドア右側へ「ぼかし塗装」を施工します。
この際、フロントドアに取り付いているドアミラーやアウターハンドル、ドアバイザー、アウトサイド(水切り)モールを足り外すことで、それぞれの部品の塗装際を無くし、新車の製造ラインで塗装するような仕上がりに近づけます。
また、修理の仕上がりより、ご予算を優先する場合はマスキングによる塗装も可能です。
まずは、防錆剤と下地色の塗装。
次に、しっかりと外板塗装。
良い色艶ですネ 😆
外板塗装が終わり、交換する部品を組み付けていきます。
ここで、ちょっと一工夫。
今回の損害で ヘッドランプ右側を交換しますが、良くあるのが片側が新品になると元々取り付いていたもう一方のヘッドランプと見た目の差が顕著に分かってしまう事。
プラスチック素材でクリアー部品であるヘッドランプは経年劣化により黄ばみや細かな傷、ヘッドランプ表面に塗装されたクリアー塗料の白濁等 その症状は顕著に表れます。
どんなに修理がキレイになっても部品が新しいか古いかの差により修理した事が分かってしまっては普段おクルマにお乗りになるお客様が「私、事故しましたよ~」って宣伝している様なモノ。
今回は敢えて、ヘッドランプの右側を新品ではなく『リサイクル部品』を使用しました。
さらに、ヘッドランプの左側もヘッドランプリフォーマーによりキレイにしておきます。
こうすることで、左右差がほぼ無くなりました。
リサイクル部品のヘッドランプ右側
「ヘッドランプリフォーマー」により、ランプ表面をキレイに。
で、全ての部品を組み付けて完成。
ヘッドランプの左右差も作戦通り分かりませんネ 😆
今回の修理代は 技術料91,670円 部品・材料代129,946円 合計221,616円となりました。
整備期間は4日間 でした。
担当者 フロント/武本・鈑金/薬師寺・塗装/椎野